ネガティブな感情も大切にする。自分を信じるレッスン、マインドフルネス・セラピー入門 by手塚郁恵

本の紹介

あなたにとって、自分の心を温かく包み込んでくれる本ってありますか?この本はまさにそういう温かく包み込んでくれる優しさや柔らかさを感じさせてくれる本です。
自分を信じるってどういうことなのか、ということを丁寧に記してくれているように感じました。具体的に、という言葉は合わないかもしれません。
でも、しみじみと、じんわりと感覚的に理解できそうな感じなのです。


photo credit: cuore_di_nuvole via photopin (license)

ネガティブな感情をどう扱っていますか?

普段生活をしていて、あたしたちはどこかで、ネガティブな思いや感覚を抱いてはいけないような、そんな感覚になったことはないでしょうか?
あ、こんな思いはだめだ、とか。こんな辛いこと、なかったことにしようとか。感じないことにしておけば気持ちが楽だから、とか。そういう感じ、感覚、思い。誰もが味わったことがあるんじゃないかなって思います。
でも、それって何で味わったり、湧いて出てきたらいけないって思うんでしょう?誰かに悪いから?誰かって……誰でしょうね?
そうやって沢山たくさん、味わったらだめだよ、感じたらだめ、ってしてきた感情を押し殺してしまっていると、自分の感覚そのものがわからなくなってしまうことが多いのです。
そもそも、ネガティブな感情は味わっていけないものなのでしょうか?
悲しさや苦しみ、辛さにも意味がある、といったらどうでしょう?
その悲しさや苦しみ、辛さがあってこそ、人の優しさに気付けたり、人に優しさを与えたいと思ったりも出来ます。人の痛みに気づける人になれます。
その悲しさや苦しみ、辛さがあって、じんわり感じることで、自分ってこんなに繊細だったんだなぁとか、感性が豊かだったんだなぁとか、自分というものへの気づきが生まれることもあります。
そして何より、自分が本当は大切にしてほしいこと、もの、想い、価値観を探す手がかり、宝地図になるのではないでしょうか。
自分のそういうネガティブな感情にOKを出せるようになると、自分そのものに対してOKを出せるようになることが増えるように、あたし自身も感じています。

自分の感覚を取り戻すことはいのちの輝きに気づくこと

ネガティブな感覚や思いをしっかり味わうことで、自分のしてほしかったことや、小さな頃の願いが湧き上がることもあるそうです。
本当はどうしてほしかったのか、わかるのは自分だけ。
なかったことにしやすいネガティブな思いの裏側に、自分の本当の願いがあるならば。しっかり味わいたいな、と思いませんか?
例えばあたしの話。極々自然に、あたしって出来ない人間だ、ということを思い込んでいました。出来ない子だと親から言われていたから。出来ないって言われてしまうから、人に打ち明けないでいることもあります。
出来ない証拠探しをすることが得意なので、人と比べることも得意でした。そうして自己嫌悪に陥る。
誰かの視線が怖いのは、出来ないと思われてしまうんじゃないかって思っていたから。言い出せなかったのは、反対されるのが怖いのもあるけれど、ほらね、やっぱりね、って言われたくなかったから。だってそう言われると悲しいもの。あたしが生きている意味ってなんだろうって思ってしまうんだもの。
でもね、人がどう思おうと、何と言おうとその人の感情や思いはあたしが決められることではないし、あたし、本当はこういうことやりたいなぁって思う、その思いも、誰かが勝手に決め付けることではないんだなぁって気づいたんです。あたしが出来て、それが他の人には出来ないことも、もちろんある。
出来ないです、って言っているほうが安全なこともあった。楽なことでもあった。新たな挑戦をしないままうじうじしていれば良かったから。でも、自分の感覚を取り戻してしまったら、出来ないです、なんていつまでも言っていられないんだなぁ……というのが、今の感覚です。

カウンセラーを目指す人間として

”セラピーとは、いのちがよみがえってくるような場、フィールドを作ることだけ。いのちは生きていくのに必要なことを知っている。”
その言葉がとても印象的です。
その人の力を信じる。その場を信じる。
宝物探しをするように、いのちの輝きを大切にして見つけていく。それがあたしのテーマでもあります。
まずは、自分の感覚や感情に、そのまま、まるごと、OKを出してみましょう。何が起こるか、自分に向き合ってみましょう。

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