看護師の新人教育について思うこと


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看護師の新人教育について思うこと

勉強してほしい、と思いながら、新人さんにどういうふうに勉強したらいいよ、って教えてあげる先輩が少ないなぁって何となく感じています。
この時期に、新人さんが転職してきて、どうして転職してきたか、というと適切な教育を受けられなかったから、という理由だった、というのを耳にして。けれど、その人自身も自分で出来る勉強をしていなかったみたい、というのも聞いて。
短大や専門学校の教育システムがどうなのか、知らないのですが、大学も、中学高校の延長で、どのように学んだら実践に活かせるか、という教えは少ないんじゃないかなって感じています。社会人になったから、といって急に実践に繋がる勉強の仕方を身につけられるか、と言ったらそうではない。魔法にかけられて人生があっという間に変わったら楽チンなのだけれど、そうではないことを、あたしたちは知っています。
それなのに、どうしてかそういう教育の仕組みが整ってないのは何だか不思議ですね。みんな自分が生きるので精一杯。けれど、折角ずっと働いてきた先輩なんだし、こういうふうに勉強してきたらよかったよっていう経験を伝えたり、お勧めの参考書を教えたり、っていうコミュニケーションってすごく大切なんだと思うのです。
一緒に仕事をしていくんだし、早く仕事を覚えて、早く一人前って認めて独り立ちしてもらうためには、そういうの、すごく大切な教育かな、と思います。ちょっと知っている知識だけでも、伝えてあげることってすごく後輩にとっては大切な情報なのです。

知識は毎日の積み重ねから得ていく

偉そうなことをはじめに言っておきながら、あたし自身そこまで課題をしっかりこなすような新人生活を送ったわけではありません。新人時代は特に毎日の業務を覚えることでいっぱいいっぱいだった記憶があります。そこまで勉強する時間もなくて、帰るのは23時すぎで次の日は普通に8時くらいに出勤、だから寝るために帰っているような感じでした。
でもね、新人って毎日早く職場について点滴を出したり、リーダーさんと一緒に内服配りに行ったりすると思うんです。色んな処置とか検査とか色々経験する場面が多いはず。
それって実はすごいチャンスなんです。
同じような薬飲んでるな、同じような点滴が出されているな、この人はこの点滴いっていないけどどうしてかなって……この人こんな検査してる、あ、あの人も同じことしてる……
こういう気づきをするかどうか、が凄く大事です。
気づいたら気になって、調べるはず。この薬ってどんな人が使うものなんだろう、って。知らないまま患者さんに投与するなんて怖いって、調べていくうちに実感していくと思います。
例えば、ラジカット(エダラボン)という点滴。この点滴は脳梗塞の患者さんに投与されます。脳保護剤です。脳梗塞となって死んでしまった細胞から発生する活性化酸素を取り除いて、脳梗塞になっていない、なりそうな細胞を活性化酸素から守ってくれる点滴です。腎機能を悪化させる副作用があります。なので腎機能が悪い患者さんには始めから投与されません。発症から24時間以内に始めて14日間投与できますが、発症から時間が経って病院に来られている患者さんには投与されません。
それを患者さんの情報と患者さんに投与されている点滴処方で知っていくことができます。投与されている薬の作用、副作用を知っていれば患者さんの状態もどこをこまめに観察したらいいか、わかっていきます。
そういうことの積み重ねって凄く大切だなってあたしは感じています。
先輩が患者さんにどう説明しているのか、先輩が他の職種の人とどんなやりとりをしているのか、耳をそばだてていることも学びの一つの方法です。それをメモしておいて、勉強したときにその知識が参考書に載っていたら、おお!ってなるし、自分の頭の中に残りやすくなります。

新人さんにしてもらいたいこと

先輩の話した内容はいつでもメモしておいたほうがいいです。後々気づきに繋がることがあります。日々、どんなやりとりをしたのか、自分の行動も一緒に振り返るとなお素晴らしい。
勉強の仕方がわからない、何がわからないのかわからない、そういうの、先輩も経験しているはずです。素直に打ち明けてみましょう。そのときは、どこまでやっているか、どういう方法を試したのか、自分の状態を言えるようにしておきましょう。
レポートを書いてそれでおしまい、じゃなく、日々患者さんと接していて学んでいくことがあるはず。気づきがあるはず。それをしっかりレポートに付け足していくことが大切です。
病院や部署の教育体制のせいにするのではなく、自分で出来る勉強方法や学びの方法を、自分のために考えてみましょう。与えられた知識はすぐに抜けてしまいやすいです。自分から主体的に学べたら看護はもっともっと楽しくなります。

Posted from するぷろ for iOS.

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