看護師として働いて感じるくも膜下出血の怖さ


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くも膜下出血って??

くも膜下出血は脳卒中の1つです。頭の中は、脳を守るために3つの膜で覆われています。硬膜、くも膜、軟膜です。そのくも膜の下(軟膜の上)の血管が破けてくも膜下腔に血が流れてしまう病気のことをくも膜下出血と言います。

原因
くも膜下出血の多くは動脈瘤の破裂が原因です。動脈瘤は動脈の一部が膨らんでしまったもので、動脈の分岐部に作られることが多いです。
動脈瘤を持っている方で、血圧が高い方は動脈瘤の血管壁が脆弱になりやすく、脆弱であるがゆえに破裂しやすいため、血圧のコントロールが必要になります。
動脈瘤は遺伝しやすいとされていて、家族にくも膜下出血になられた方がいらっしゃったら一度検査されてもいいかもしれません。

発症時の訴えとして
発症時、ものすごく頭が痛くなります。バットで殴られたかのような痛み、と表現されることが多いです。
少量の出血であったりすると、偏頭痛持ちの人やたまに頭痛があって、という方はいつもと同じくらいの頭痛だったのでロキソニンなどの鎮痛剤を飲んでやり過ごしてしまった、ということも。なので、偏頭痛持ち、頭痛持ちの人はいつもより薬が効かない、頭痛が長引く、ということがあれば病院を受診されてもいいかもしれません。
また気持ち悪さ、嘔吐があることもあります。発症時の意識障害の強さが強いほど予後が悪いとされています。

くも膜下出血の怖さ

再破裂
くも膜下出血は発症時の出血で亡くなられる方も多いですが(全体の3分の1)、発症後から24時間以内の動脈瘤の再破裂が最も致命的とされています。一旦破けた動脈瘤は一旦かさぶたのようなもので止血されるのですが、血圧上昇などによってかさぶたのようなものがとれてしまうと再び出血。それを再破裂というのですが、再破裂すると、死亡率が高まります。
そうならないように病院に搬送されたくも膜下出血の方は鎮静をして、大抵の場合気道を確保するために挿管をして、呼吸器で呼吸を助けて、暗室管理となります。刺激を与えないようにして、血圧も上がらないようにしていきます。
マイケルジャクソンが使っていたというプロポフォール、というもので鎮静をかけて、眠ってもらっていますが、部屋にいくと患者さんがぱっちり目を開けていた、こともありました。この患者さんは挿管されていなかったので「もうダメかと思った〜」って患者さんに言われて、うんうん、って話を聞きながら、本番はまだまだこれからだから一緒に頑張ろうねって伝えてプロポフォールを増量。この患者さんは無事に治療を終えられてリハビリ病院へ行かれました。

血管攣縮(けっかんれんしゅく)
治療をし、再破裂を乗り越え、あとは軽快に向かっていくかというとそうではなく、血管攣縮という血管が縮んでしまう、脳梗塞になりやすい時期が発症後から発症2週間前後に待ち構えています。
血管攣縮の原因は明らかになっておらず、発症時に出血した血液の残骸が正常な血管に悪さをしている、などの説があります。
この時期は本当にすごく大切な時期で、ここを乗り越えられたらあとは軽快に向かうと思っても過言ではないと思います。
ここで脳梗塞になってしまうと広範囲の脳梗塞になってしまうこともあり、血管攣縮による脳梗塞が原因で命を落とされる方も多いです。
血管攣縮が起こらないように血圧は高めに、点滴は多めに。利尿がつきやすい時期でもあり、脱水にならないように注意しながら点滴で水分を補っていきます。脳梗塞予防として血液をさらさらにしてくれる薬も飲むことになります。
この時期、2週間って本当に長くて。ご家族も同じように感じられるかと思うのですが、本当に毎日、気が抜けないです。昨日状態がよくても今日はよくない、ということもあって、緊急で検査、治療へ、ということも。
過去にはこの血管攣縮を毎日繰り返している患者さんがいて、毎日朝一で血管を広げる治療を行っていました。とにかくこまめな状態観察が必須です。

正常圧水頭症
血管攣縮を乗り越えて、何とか命の危機からは脱していますが、発症から3週間後になりやすいのが正常圧水頭症、というもの。
認知症、尿失禁、歩行障害などがメインの症状になります。

この3段階でくも膜下出血の治療が行われていきます。脳卒中の脳梗塞、脳出血は段階を踏んで治療、ということは殆どなく、1週間をすぎれば状態も安定していくのですが、くも膜下出血の場合そうではないため、患者さんのケアもそうですが、ご家族の精神的なフォローも必要になってきます。

まとめ

くも膜下出血は40〜60代に好発、男性より女性のほうがなりやすい、というデータがあります。私自身の経験上何となく夏はくも膜下出血の患者さんが多いような印象を持っています。(ちなみに冬は脳出血の重症患者さんが多い印象です。血圧の管理、温暖差、気をつけてほしいです。)
頭痛がしたり、吐き気があったり。ネットを見ているとなんとなく熱中症と間違えやすい、ということも書かれていたりします。突然の、経験したことのないような頭痛なら、意識消失があったら、救急搬送しやすいと思うのですが、いつまでも続く頭痛、吐き気、悪寒は(そしてご家族でくも膜下出血の方がいらっしゃるようなら)一度病院受診をお勧めしたいと思います。

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